第2通:アイドルの神様へ

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俺があれこれ妄想しているとあっという間にオーディションの時間になった。 急いで非常階段を登り会場に向かった。深呼吸して会場に入った。すぐに入り口にいる女性スタッフに名前をきかれた。彼女は俺の名前がリストにある事を確認し、首から下げるタイプのネームプレートを渡してくれた。 ネームプレートは左上に番号が書いてあり、俺が受け取ったのは14番だった。 「そこのテーブルで自分でプレートに名前を書いてね。フルネームでできれば漢字でフリガナもつけて。」 俺は地方出身で比較的のんびりした地域にいたので、この女性スタッフのお願いは子供に対するものとしては、少し情報が多い気がした。 ちらっと周りを見るとストラップの色は5色に分かれていた。審査員がネームプレートを読めない時、もしくはきちんと少年達が自分の名書けなかった時のために役立つようだ。 俺はなんの迷いもなくサラサラと漢字でフルネームを書きそのネームプレートを格納するプラスチックのケースに丁寧に差し込んだ。そして、首にストラップをかけながら会場を一周ゆっくり見渡した。 会場の灰色の床は黒いガムテープで区切られていた。区切られたスペースには、1-10、11-20と番号が書かれたスタンドが立っていいて、約40名のオーディション参加者がいる事、俺は11-20のところでスタンバイが求められている事がわかった。 スタッフにカバンがある人は奥にあるテーブルに置いてと言われたので俺は財布や携帯などが入った斜めかけの黒カバンをテーブルに置いた。意外にセキュリティー管理は低いのかなと思ったがオーディション会場で他の候補者の荷物をスタッフや審査員の前で盗むやつがいる事もないので普通かなと思い直した。 ダウンなどの上着もカバンと一緒に置いてる子達もいたが、俺はレザージャケットは羽織ったままの俺を審査員に見て欲しかったので脱がずに指定された場所へ行った。
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