第2通:アイドルの神様へ

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他の子と会話をしようかと考えていたら送迎車がついたようだった。 すぐに入り口でネームプレート付きストラップを配っていた女性のスタッフさんが俺達を引率した。車に乗る子達は俺を含めて7人程度で、最後は横浜まで行くみたいだった。 送迎車に乗ってから10分も経たないうちに俺は6階建のマンション風な建物の前に降ろさた。引率をしてくれた女性スタッフさんは助手席の窓をフルオープンして車を降りた俺に「建物に入ったらすぐにスタッフさんが竹本君に話しかけてくれるからね。」と声をかけた。 なんだかちょっと不安だったが建物に着き俺が車を降りる直前にオーディション会場のロビーで話かけてくれた少年が「ここは事務所のレジェンド達が住んでた寮なんだよね?」と助手席にいる女性スタッフさんに聞いていた 女性スタッフさんは、「そうよ。よく知ってるわね。そうだったけど今は打ち合わせや撮影に使われるのよ。勿論、竹本君みたいに地方から来る子の宿泊先にもなるけど。」と答えた。 なんかいきなり凄い所にきてしまったが、俺の心は不安よりワクワクのほうが強かった。 女性スタッフさんと運転手さんに御礼をいい、話かけてくれた少年に手を振り建物に入った。 建物に入るとマンションの管理人のような男性が勝手口から俺の前に現れた。オーディション会場で見たスタッフさん達よりかなり歳上な感じだった。 彼は俺の名前を確認した後、予め用意していたと思われる部屋の鍵とバスタオルを渡し「小さいタオルやシャンプーなどのアメニティーは部屋にあるから」とか「部屋は5階で奥にあるエレベータで行ける」など必要最低限の事を教えてくれた。 俺はお礼を言いエレベーターの方へ向かおうとした時、彼は急に思い出したかのように「明日は朝8時に今日君が降りた場所にお迎えが来るから遅れないでね。」と俺に伝えた。 用意されていた部屋は寮というよりは簡易的なホテルのような作りだった。 レジェンド達が出て行った後にリフォームしたのかもしれない。 部屋に入りすぐにベットに腰掛けると緊張がとけ、代わりに急に疲れが襲ってきた。 夕方4時にオーディションを受けてからもう3時間が経過していた。
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