第2通:アイドルの神様へ

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歌番組収録会場にはすぐ到着した。 車から降りた際に一緒に乗っていた子達が昨日送迎車に乗っていたメンバーかどうか確かめた。昨日いたかも、、、という子達が2-3人いたが確信はモテなかった。 昨日引率してくれた女性スタッフさんが再び俺達の所にきて、控室を案内してくれた。 おお、これが楽屋ってやつか。俺も楽屋に行けるんだなっと内心ワクワクだった。   今日収録する歌番組は俺がオーディションを受けた事務所のみのアイドルが出演しており、毎週1時間の公共放送だった。毎週欠かさずとまではいかないが俺も地元で見ていたのでなんとなくイメージがつかめていた。 楽屋であろう控え室に入ると、10代前半の子達がステージ衣装に着替えていた。ステージ衣装は何種類かあり、みんな自分がバックにつく用のステージ衣装を知っているらしく各々選んでから着ているようだった。 俺はこれを見学してればいいのかなと、衣装の種類や楽屋の子達の人数を数えていると、控え室に引率してくれた女性スタッフさんは番組の制作側っぽい人と話し終え俺のほうに向かってきた。 「竹本くん、あそこにかかっている白の上下の衣装を着てくれるかな?竹本くんが嫌じゃなければ今日の歌番組のバックダンサーに入って欲しいんだけど。」 最初、彼女が何を言ってるのか理解できなかった。白の上下の衣装にバックダンサーが着替えるのを手伝ってくれとお願いされたのかと思った。 いや俺が手伝っても逆に足でまといになるだろうと思い直し、俺は「今日は見学じゃなく僕も一緒に歌番組にでるんですか?」と確かめるために質問した。 彼女は「そう。嫌じゃなければね。一曲Love-Land(=生バンド演奏をする人気グループ)の後ろで踊って欲しいの。Love-LandのGo for it!!!て曲知っているよね。サビは右手の拳をタイミング合わせてみんなと一緒に上げるだけで他の部分は自分が好きなステップを踏むだけでいいから。」 俺は勿論「はい。グループも曲も知ってます。頑張ります。有難うございます。」と答えたが、なんだか昨日のオーディション会場からの展開が早すぎて夢を見ているのではないか?と思った。
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