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実はこれがこの事務所のやり方だった。
アイドルに色んなサプライズ仕掛け急な事態でも対応できる臨機応変の能力をみにつけさせる。そして、アイドルは短い時間でダンスや歌を習得できるようになっていくのだ。
好きなステップが選べるほどダンスの事は知らないけどなんとかなるだろう。と脳内でツブヤキ、そそくさと着替え白い子達について行きステージに向かった。
撮影はスムーズで一回で終わり俺はみんなと控え室に戻った。
俺はステージ衣装を着たまま誰とも話さず、先程の撮影を振り返っていた。
Love-Landはめちゃくちゃかっこよかった。バンド演奏も歌も美味かったし、何よりみんなルックスが良かった。着ていた服もおそらくすべてハイブランドだろう。
正直、俺はドラマの主人公役のアイドル以外はこの事務所のアイドルにそこまで興味がなかった。勿論、Love-Landメンバーの顔と名前、今日演奏していたメジャー曲は知っていたが、ここまで感動する程かっこいいとは予想していなかった。
グループってすごいな1人よりも数人でいた方がかっこよさが倍かけで増すような気がする。俺も練習すれば何か楽器弾けるようになるかな?
俺の脳内はLove-Landへのつぶやきがバズっていて、後ろから今日一緒にバックで踊っていた子が僕に声をかけている事に気づくまでしばらく時間がかかった。
彼は僕に用事があるようだった。
改めて顔をしっかり見ると今朝乗った送迎車に俺が隣に座った奴だった。
「竹本君、これからちょっと付き合って欲しいんだけど。」と彼は言った。
ステージに出ている時は舞い上がっていて気づかなかったら、彼は僕が着ている白の上下の衣装に加えコバルトブルーのベストを着用していた。背は俺より少し低く華奢な体格だったが、間違いなく入所は俺より前で年上な雰囲気だった。
俺は断る理由もないので「はい。」と返事をしどこに行くかなどの質問は特にしなかった。
「じゃあ、俺について来て!」と彼はスルスルと他の子達をすり抜けて控え室を抜け出し、早歩きで先程撮影をしたステージの方に向かって行った。
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