第2通:アイドルの神様へ

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一人じゃ持てないような荷物があるのかな?彼は力がなさそうだからな。 と呑気に考えてると、突然、彼はステージ脇でカメラを回していた二人のカメラマンさんに向かって「連れて来ました!」と大声で叫んだ。 よく見るとそこにはカメラマンさんだけではなく、Love-Landの後輩グループに所属する2人のアイドルがいた。そして俺らを見てすぐに「おお、よく来たな!こっち、こっち」と彼らの間に俺ら2人を囲む形の立ち位置に素早く動き、すかさずカメラマンさん2人は俺ら4人がちょうど枠に入るように後ろに下がりカメラを向けてきた。 いきなりカメラを向けられ当惑したがすぐに、ああ、そうか、このコーナーは見た事あるぞ。先輩2人が入所したばかりの後輩を選抜してインタビューするコーナーだったな。うん?いや俺まだ入所してないんだけどな。と俺の脳内は意外に冷静だった。 脳内は冷静だったのだが、顔面は思いっきり引きつっていたようで、先輩アイドルは「大丈夫?緊張してる?」と優しく問いかけてきた。この質問には勿論「はい。」と答え、声を出した事により顔の引きつりが取れたようで、先輩達2人は名前や年齢など、基本的な質問をしてきた。 回答しながら、もしこれが放送されるなら言っとかなくちゃいけない事がある!と大切な事を思い出した。 先輩達が次の質問する前に間髪入れず「僕、白崎(しろさき)さんに憧れてこの事務所のオーディション受けたんです!」と言った。白崎さんに伝わるかなぁ。 先輩達は「へー!白崎!!確かにかっこいいよな。で、俺達は憧れランキング何位?」と速攻弄られ、俺は『やってしまった』という顔になった。 これにはカメラマンさんやスタッフさんも笑った。後日放送を見たら俺の尺は3分近くありほぼノーカットだった。 3分間であったが俺の初めてのテレビ出演は事務所の人や視聴者に大きな影響があったと思う。勿論、いい影響だ。 放送された収録を家で見た時は、かなり地元特有のイントネーションが出てしまった事や白崎さん発言で先輩が嫌な思いをしたかもしれないと落ち込んだが、今振り返れば大した問題じゃなかった。  
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