第3通:Dear God in a Filed

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また、俺が地方から通っているため同年代のメンバーとコミュニケーションを取れる機会が非常に少ない事をスタッフさんは心配していた。 会社の同期同様、若い頃に同じ釜の飯を食った絆は将来のチームワークの土台となるというのが事務所の考えだ。 俺の心配事を見越した上での誘いだったので、事務所は既に俺が不安を示した際の対応策を考えていた。 その時の俺に必要だったのは同年代の子達とレッスン以外に一緒で過ごせる時間だった。合宿はあくまでトレーニングがメーンであるし、既に俺以外の同年代は顔見知りであるので、こじらせナルシストが現れると下手すりゃイジメの対象にもなりうる。 しかし翌日急遽計画に変更があったらしい。 合宿は当初テレビ局の取材を入れる予定だったが企画自体がボツになったらしく、事務所はコストや運営面を考え今回は集団での宿泊は避け、横浜にある体育大学付属の施設を借りてアクロバットとダンスのトレーニングのみをやる事となった。 最終的に事務所が俺に対して提案してきたのは、春休みの2週間、集中トレーニングに参加するために横浜在住のメンバーの家に居候する事だった。 居候先のメンバーは入所したばかりなので俺が通っている週末ダンスレッスンに参加した事はないらしかった。年齢は俺の2つ上で、平井修(ひらいおさむ)という名前だった。 俺は今度は迷う事なくオッケーした。母親も食事などの健康面を心配していたので安心したようだった。 平井家には俺の両親と一緒に車で行った。 両親は横浜は久々なので、俺を置いた後は中華街でデートだとはしゃいでいた。 俺は両親がはしゃいぐ姿を煩わしいふりをしていたが、内心は今回の事がきっかけで2人が楽しめている事が嬉しかった。 予め平井家には客用の駐車場スペースがないと聞いていた。なので平井家に着く少し前に携帯で修くんに連絡し、彼が外に出て近くのコインパーキングを案内してくれる手はずだった。 父親が運転する車が平井家の手前まで近づいた時、俺は修くんらしき子がアコーディングフェンスの外側ででぴょんぴょん跳ねて口をパクパクしいるのを発見した。 声こそ聞こえなかったが、漫画の吹き出しが「お~い!ここだよぉ~!」と出ているように見えた。母親は思わず「あは!修くん可愛い!」と声を上げて笑った。  
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