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修くんは曲がるべき道が俺の父親にわかりやすいようにその直前になるとぴょこぴょこ跳ねながら誘導してくれた。
いい奴ってこんな動作にも滲みでちゃうものなのか…と修くんが馬が合わない奴だったらどうしようという不安が一気にぶっ飛んだ瞬間だった。
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次の日から修くんと一緒に参加した集中トレーニングでまず驚いたのは、選抜されたメンバーが予想していたよりもずっと少ない事だった。
トレーニング会場に到着後、初めて見る事務所の女性スタッフさんに更衣室を案内され着替えるように言われた。その後アクロバット施設を備えるメイン会場に来るようにとの事だった。
修くんと一緒に素早く着替えを済ましメイン会場に向かうと、先程声をかけてくれたスタッフさんに加え、大人の男性が3名、俺らと同い年ぐらいの少年が2名、既に会場の真ん中に集まっていたので、慌てて俺らもその輪に入った。
まずは今回の責任者だという事務所のスタッフさんがオリエーテーションがてらアクロバットのコーチと、ダンスの先生、女性スタッフの名前と役割を簡単に説明し、全体スケジュールは変わる事もあるが、基本アクロバットとダンス交互に毎日時間を分けてやると言った。
このスタッフさんは富岡さんという名前で俺のテレビ収録参加や今回の集中トレーニング参加を誘ってきた人だ。
次に富岡さんは俺ら含む参加者を名前のみ紹介した。
俺ら以外の参加者は先に集まっていた2名のみだった。名前はその場ですぐに覚えられなかったが、彼らは東京から毎日横浜まで通うとの事だった。
最後に、富岡さんはすぐにアクロバットの練習に入るから4人で輪の形になり自己紹介するようにと言ってダンスコーチと女性スタッフと一緒に俺たちを離れた。
4人で輪になってすぐに率先して最初に口火を切ったのは内田光輝(うちだこうき)くんだった。サラサラな黒髪に大きな黒目で、うちの事務所のわかりやすいセンター顔だった。年齢は15歳の中学3年生だが、目が大きいせいか幼くみられると彼は爽やかに笑いながら言った。
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