第3通:Dear God in a Filed

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最後の修くんの番になり、大丈夫かな?と彼が話す前に俺は勝手に少し心配になったが、声や仕草はとても落ち着いていた。 「どーも!平井修と申します!実は今週入所したばっかりでーす。歳は光輝くんと一緒の15歳です!中学最後の春休み、こんな機会をもらえて嬉しいです!」 …となんだか公共放送の歌のお兄さんみたいな口調だった。 修くんは天が授けた人に好かれる才能を持っているらしい。 彼は4人の中では光輝くんと同じ最年長なのだが、話終わった途端に晶くんに「今週入所?すげぇー!っていうか年上に見えないし。肌プルプルじゃん、なんかサプリメントやってんの?」と突っ込まれ、目をまん丸にし「サプ…?」と明らかにサプリメントは初耳だという反応をしたので俺らは腹を抱えて笑った。 「じゃあ、そろそろトレーニング始めようか?」と各々の自己紹介が終わり打ち解けモードにすんなり入れた俺らの後ろでアクロバットのトレーナーが声をかけた。  2週間のトレーニングは当初予定されていたボイストレーニングは削られアクロバットとダンスレッスンの二つを交互にやっていく計画だった。進み度合いをみながら配分時間を変えたりしたいので人数を絞ったとの事なので、他の3人に迷惑をかけないようにと2週間俺は本当に頑張った。 すでにアクロバットトレーニング経験者の光輝くんと晶くんは、バク転は2回に1回成功できるようにまでなっており、後は成功率をあげるために仕上げる程度だった。 修くんと俺はアクロバット初心者だったので、基礎からしっかり教わる必要があった。 修くんと俺はそもそもの身体能力が高かったし、専門トレーナーの指導のもとで体育大の施設にあるトレーニング器具を使うという恵まれた環境のおかげで、俺たちはトレーニングの最終日には3割の確率でバク転ができるようになった。   一方、ダンスレッスンでは修くんは苦戦していた。 ダンスは音に合わせてリズミカルに動くだけでなく、その動きをコマ送りにしても一振りずつ手先と足先が正確なフォームを形成する事が求められた。 修くんは、手先か足先のどちらか、あるいはその両方が間違っていたりタイミングがずれたりし何度も注意されていた。
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