第1通:俺のファン1号、聖母マリアへ

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俺がその主人公役の俳優に一歩近く日は数年後にやってきた。 母親と一緒に某事務所に入所したいとの意向を示す履歴書を送ったのだ。その時、俺は12歳で小学6年生だった。 空手の有段者であり客観的に見て厳格といえる父親には履歴書を送る前に説明した。 自分でいうのもなんだが、俺の顔は整っていると思う。面白くて目立つ奴がモテる小学生時代、授業中や休み時間に何も発言しなくても体育の時間で俺が軽く跳び箱を飛ぶだけで女子からは押し殺したような歓声があがっていた。   …気づいていないと思っている女子達。おとなしい男こそ周りをよく観察しているのだよ。 なので履歴書を送った時点で俺はすぐに事務所から連絡がくると目論んでいた。父親に事前に説明したのも入所が確実と自信があったからだ。 そんな淡い期待に胸を膨らます俺を裏切り半年が経った。事務所からはなんの連絡もなかった。 俺は中学生になった。 このままアイドルや俳優としてのトレーニングを何も受けなくてはマズイと感じはじめた。 そこで、当時唯一の習い事である空手を演技やダンスのベースなると考え、より一層真剣に取む事にした。
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