第3通:Dear God in a Filed

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しばらくこんな風に4人で会えない事を想定しての打ち上げだったが、その日から約1年半、俺らは週の半分以上を4人で過ごす事となった。 *********************************************************************************************************** 今思えば春休みの集中トレーニングは事務所が用意した内部テストのようなもので、俺ら4人は合格したのだろう。 4月最初の週末、事務所でダンスレッスンが終わった後に集中トレーニングの責任者だった富岡さんがフラッとレッスン場に現れ俺ら4人に集まるようにと声をかけてきた。 富岡さんは集まった俺らに事務所社長と幹部の意向で、光輝、晶、修、俺で4人組ユニット『Flash Snow』を結成する事になったと伝えた。そしてこれはCDデビューではないが、デビューに一歩近づいたと思って喜んでいい事だよと笑顔で付け加えた。 俺ら4人は「おー!やったじゃん!」と全員でハイタッチし合って喜びを分かち合った。 すると急に晶が「っていうかこれから春なのに雪なのかよ?。名前決めたの社長??」といつもの感じに戻ってガハハと笑った。 光輝はすかさず「冬にデビューする事をしているのかもしれない。」とクールに言った。俺は名前のことまで気がまわらなかったので、晶や光輝はやっぱり格が違うなと思った。 けれど彼らと一緒なら無敵な気がした。 結成直後、Flash Snowは先輩グループのバックダンサーとして踊っていたが、ゴールデンウィークに開催したうちの事務所主催のライブで、過去に4人組ユニットを組んでいた先輩方の楽曲を4人でパフォーマンスしたところ、爆発的な反響があった。 Flash Snowは年の近い兄弟のようにすごくうまく機能していた。 ゴールデンウィークの公演後、晶の提案でお互いを呼ぶ際の『くん』づけはやめた。それをきっかけにすぐに俺らは年齢や入所歴は関係ないスタンスになれた思う。 他のグループユニットに比べるとFlash Snowはイケメンぞろいというわけではなかったが、仲の良さや絆の強さがファンやスタッフさんに伝わり人気が出たのだと思う。 俺たち事務所のアイドルのファンは女性が多い。彼女らはメンバー同士の不仲をすぐに読み取り、足の引っ張り合いをしているとそれに即座に気づきSNSなどで非難する。
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