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初回の三者会議が終わり、
艦長より一時解散の指示が出た。
結城は士官休憩室の自販機に
硬貨を投入し、ボタンを押した。
ガチャン!!
購入したお茶を喉に流し込む。
まだ状況が理解できていない、
というのが本音だった。
もちろん、自衛隊に入った以上、
こんな日が来るのではないかと予想は
していたし、覚悟もある程度はしていた。
しかし実際は、何の前触れも予兆もなく、
朝起きたらいきなり戦闘が始まったのだ。
受け入れろという方が無理がある。
「結城」
ハンカチで口を軽く拭う結城に
清水が声をかける。
「お前、蛍ちゃんにちゃんと
伝えたいことを伝えるべきなんじゃないか?」
「ああ、そうかもな。
お前のほうこそ、佑実に何か言わなくていいのか
?」
「俺は遺言やら遺書やらは用意しない
主義だ。撃墜されるつもりなんて
毛頭ないからな。」
残っていたお茶を飲み干し、
空き缶をゴミ箱に捨てる。
士官休憩室を出て、
第一甲板へ上がる。
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