出撃の時

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『航空管制よりCIC。 館山基地よりSH60K、着艦します。』 戦闘機とは大きく異なる飛行音が 徐々にいずもに近づいて来る。 いずも艦橋部に備え付けられた 誘導装置に基づき、3機のヘリコプターが いずも甲板に着艦した。 「ITOより艦長へ。 13:30、F35B,12機、SH60K,7機、MCH101,1機、 艦載機全20、収用完了しました。」 『艦長了解』 午後1時30分、いずもを旗艦とする 第一護衛艦隊群8隻は房総半島の 南端から南に50kmの海域で 艦載機の収用と艦隊陣形の形成を 行った。 海上自衛隊は艦艇専属の対潜ヘリ部隊を 持たない。あくまで近くの航空基地に 所属するヘリコプターを任務に応じて 搭載するという形をとる。 それは例え制空護衛艦、所謂空母となった いずもと言えど変わらず、対潜ヘリは 千葉県の海上自衛隊館山基地から 呼び出す必要があった。 いずもが艦載するヘリの収用を行っている 間、既に第一護衛艦隊群は艦隊陣形の 形成を完了していた。 いずも型護衛艦は多くの航空機を運用する 航空母艦としての能力を強化した反面、 自身の持つ兵装は非常に少ない。 自衛用の短距離小型対空ロケットランチャー: シーRAMが2基と、対空バルカン砲の CIWSが2基、これだけである。 そのため、本格的な防空はF35B艦載機12機 を除けば、艦隊を組む7隻の護衛艦に 委ねられている。
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