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まさかその指紋のモデルにリモコンを拾われるなんて思いもしなかった。
「さっきの宇宙船も作ったの?」
「そうだね。頑張った」
先程まで間違ってもこの公園には設置されないであろう形状の宇宙船が召喚されていたが、既に異空間に格納済みだ。認証された指紋の持ち主にしかその宇宙船は見えないため、他の誰かに見られていたという心配はないだろう。
『さっきの、見たよね?』
『見た』
『少し時間をくれないか。君と話がしたい』
『……わかった』
そうして僕たちは、人どころか猫もいない公園のベンチに座っているというわけである。
正直、ここで何かを弁明しようとする気はなかった。バレてしまったからには、もう地球にはいられない。地球人の知的好奇心は相当なもので、僕の存在を解明するためなら問答無用で様々な種類の研究や実験を行うだろう。
地球人は"知る"ためならば命の価値が変える生き物だ、と本で読んだ。
「転校生」
彼はひとつひとつ確認するように言葉を紡いだ。
「そうだね、そういう設定だ」
僕は二週間前に彼のいる高校に転校生として入学した。地球の学校というものを経験したかったのだ。
「今日一緒に英語のテストを受けて、昼ごはんを食べて、体育でマラソンをした。テストの結果は散々だった」
「そうだね、僕もだ」
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