【怖い商店街の話】 美味しい饅頭屋

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【怖い商店街の話】 美味しい饅頭屋

その和菓子屋は、いつも長い行列が出来ていた。 名物は「おばあちゃんの雪見饅頭」 真っ白でふっくらとした皮に、白餡が包まれている。 店主は毎朝白餡を作り、奥の部屋ではおばあさんが白餡を皮に包む作業をしているらしい。 そして、店先では立派な蒸し器があって、そこで饅頭を蒸して販売している。 数に限りがあるために、俺が店の前を通る頃にはすでに行列が出来ている。 買えずに帰って行く客も多く、買えなかった客が不満を垂らし、客同士が争いになることもあるらしい。 店の周りには、饅頭を立ち食いしている客の姿もよく見かけた。 さぞや美味いのだろうな。 店の前を通るたびにそう思うのだが、俺はその饅頭を食べたことはない。 何故なら、俺は甘い物が苦手だからだ。 前に一度、会社の女の子がお土産で買って来たのだが、俺は食べていない。 みんな、美味い、美味いと言いながら夢中で食べていた。
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