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俺と幼馴染
あのあと、ぐっすり眠った俺が教室へと向かったのは3時間目の終わりだった。
予想はしていたけれど、陽はやっぱり爆睡していた。
先生が近くに来て、声をかけ続けているのにぴくりともしない。
「陽、おはよう」
先生に保健室にいたことを伝え、授業で使ったプリントを貰ってから陽を起こす。
だんだん声を大きくしながら名前を呼び続けると、3回目くらいでやっと顔を上げた。目はまだ半分閉じているけれど。
「ノート、とってくれてるんだっけ?」
微笑みを浮かべながら尋ねると、目がかっと開いて、目を泳がせ始めた。
「起きてようと思ってたんだよ??」
でも今日暖かいだろ?と引き攣った笑みを浮かべる幼馴染に取り敢えず蹴りを入れ、帰りにアイスを奢ることで許してやる。
「今ファミレスのスイーツ競争が凄いらしいぞ??奢ってやるんだから付き合えよ??」
「ドリンクバーも追加で」
「なんでそうなるんだよ!アイスって言ったの皐だろ??」
「じゃあこの後の授業で陽が寝る方に賭ける」
「よっしゃ、俺が買ったらお前が奢るんだな??」
絶対負けねぇ、と気合いを入れた陽はコーヒー牛乳を買ってきて一気飲みしていた。
眠気を飛ばすにはブラックのアイスが一番なのに、それをしないのは陽が甘党だから。
「お子ちゃま味覚」
「これでもコーヒーの端くれだ??」
俺はお前を信じている!と空の紙パックを拝んでいる。
お互いに絶対に負けないという自信を持ち、
2人の勝負が始まった。
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