【ヴァンパイアの宝石】

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【ヴァンパイアの宝石】

『・・・お前はクウの食糧だ。 それ以上でも、それ以下でもない』 カイのーー冷たい紫色の瞳が刺すようにさくらを貫く。 『はっ・・・俺のことが好き? なら、お前のカラダ、クウに差し出せ』 『クウに抱かれるお前なら・・大事にしてやる』 『カイ・・・』 冷たい瞳に蔑むように・・・睨むように見られて さくらは懇願する 『お願い・・・そんなこと・・・』 『クウは俺の半身だ。俺はクウを一番に愛してる クウは永遠をともにする相手だ。 お前の価値は、そのカラダにしかない。理解しろ』 さくらの背後から冷たいクウの腕が伸びる。 さくらの頬を涙がとめどなく伝う。 『さくら・・・愛してる・・・ 涙、もったいないな』 クウの腕がさくらをとらえ その冷たい舌がーーさくらの涙を背後から舐めとる さくらはクウに後ろから抱きしめられながら潤んだ目でカイを見つめる 『カイ・・・』 ーー私が好きなのは・・・ 『お前、クウに気に入られてよかったな』 『クウが嫌がるから俺はお前は抱かない・・・絶対に』 ーーカイから感じるのは『拒絶』『憎しみ』 クウの唇がさくらのうなじを這い始め、 さくらはすがるようにカイに手を伸ばす。 ーー吸血、される・・・また、あの感触が・・・ 『カイ・・・手だけ・・・お願い・・・繋いでいて・・・』 カイは睨むようにさくらを見つめ、さくらの手を乱暴に掴んだ。 『・・・!・・・んん・・・』
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