『クウ』

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メニュー表を持っていくと 彼女のキレイなうなじがーー首筋がーー惜しげもなく目に入る。 思わず喉が鳴る。 人間たちは気づいていないがーー守護の力が光で攻撃態勢に入っていた。 ーーこの力でやられるほどやわではない。 がーーこの力の前で彼女らに暗示をかけるのは困難。 料理を運んだ時、お皿を置くテーブルに彼女の手があった。 指にーーさりげなく、触れた。 触れただけで脳まで痺れた。 ーーぞくぞく、する。 欲しい。 喉が鳴る・・・ この女が欲しい。 渇望。 カウンターに戻るとカイが小さく 「あの男たちさえ離せば・・・ちょろいだろ あの女、手に入れるぞ おまえがやっと苦しみから解放されるな・・・」 と言った。 『ヴァンパイアの宝石』 伝説では、生きたまま、そばに置ければ・・・ 飢えに苦しむことはない・・・ 『狩り』の必要は、なくなる。 髪の毛一つまみ 爪の一片 唾液、体液 血液ーー もし彼女と交われば・・何年満たされるだろうーー もし首筋に牙を立てたら・・・あまりの昂ぶりにこっちが死んでしまうかもしれないと思う程・・・ 出会ってしまった。カイと、俺は・・・彼女と・・・ もはや 手に入れるしか ないーー 他の者にまだ奪われてないのは奇跡。 3人の守護の力が目くらましになっていたんだろう・・・
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