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僕らの図画工作
久々の休日、僕は午後になっても布団にくるまったまま、ウトウトとしていた。
しかし、そんな僕の至福の時間は、突如入ってきた一件の着信によって、掻き消されてしまう。僕は、枕元でけたたましく鳴る携帯電話を手探りで掴み、通話に応じた。
「……もしもし?」
『──もしもし、オクダ! 俺や、ジョーや! 今どこおる?』
電話の主は、旧友のジョーだった。久しぶりに聞く友の声に、胸が弾む。しかし当の彼は、非道く慌てている様子だ。
「うわぁ! ジョー! 久々やなぁ。どうしたん。今? 家におるで。」
旧友の口調に釣られて、気づけば僕も、忘れかけていた関西弁で応答をしていた。
『ヤバイことになっとる。今すぐ、テレビつけてみてくれるか。』
携帯電話を耳に当てたまま、寝起きで感覚の鈍い頭と身体を引きずって、リビングへと走る。
──僕が呑気に寝ている間に、世間では何か大事件でも起こっていたのだろうか。
そんな不安を胸に、テレビの電源を入れ、ジョーに言われた通りのチャンネルに合わせる。
しかし、そこで放送されていたのは、ほのぼのとした雰囲気のバラエティ番組だった。
≪「どうも! "どこでも鑑定隊"のお時間です! 」≫
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