現実はRPGみたくEASYじゃない

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現実はRPGみたくEASYじゃない

story NO.2 人里、都会を離れ、深い山々の景色や澄んだ空気を感じながら山道を歩いて登っている俺は清々しい気持ちが吹き抜ける風のように心地良く感じていた。 舗装された道路の脇にひょっこり現れる月日の流れた小さな木の看板。寄り道に何かありそうな予感が冒険みたいで子供の頃の感覚をくすぶる。 土道の登山道を進むと大きな白蛇と小さな黒蛇を見つけた。そして登山道の降り口の前は大門だった。 総本山の金剛峯寺へたどり着き俺は和尚様を訪ねたがいきなり来てアポ無しじゃ話はできなかった。代わりのお坊さんが話を聴いてくれた。 「今日はどういった御用でしょうか。」 「あのぁ、今日から坊主になりたいんですけど、どうすればなれますか!?」 「そうですね。どこかのお寺の紹介があるか大学を出て資格を取られた方ですか?」 「いや、紹介も資格もないです。」 「じゃあ、在家の方になりますとすぐに出家は出来ませんし、うちではあずかれません。どこか他のお寺を探して下さい。」 「無理ってことですか!?自分、どうしても坊主にならないといけないんです!お願いします。」 「すいません。私にお願いされても困ります。どうしても坊主になりたいと言うならば、この高野山には100以上の寺院があります。あなたに縁があるならば拾っていただける住職、つまりお師匠様を見つけてください。それでは。」 「ありがとうございました。失礼します。」 ふと、我に帰る。現実はRPGみたくイージーじゃない。さっきまであったはずの謎の自信もボクサーが膝からリングに落ちるようにノックアウト寸前だ。時刻は夕方。山の夕暮れは早く、秋だといっても夜は冷え込む。所持金は使い果たして寝床も帰る手段もなくなった。あるのはただ一つ。拾ってもらえる寺を探すとゆう行動のみだ。
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