six sence

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six sence

story NO.0 「優、聞こえる?2019年の俺だけど伝えとかないといけないことがあるんだ。突然だけど優は2019年に死ぬんだよ。」 2015年10月、俺は東京の新宿にいた。地元岡山を離れHIPHOPの音楽会社libraで働き出して一年が過ぎようとする頃だった。当時、libraは9sari groupとビーフ真っ只中でlibraの運営するUMBとゆうMCバトルのイベントの商標登録の権利をめぐって裁判中だった。俺はレーベルの運営と裁判資料をかき集めることに毎日が追われていて常に緊迫した気が抜けない日々を過ごしていた。 寝る前やほんの一息ついた瞬間に俺は思った。 俺の好きなHIPHOPって一体なんだったんだろう?? 金や権利を奪い合うのがREALなんだろうか。 自由に自己表現出来るのがHIPHOPじゃねぇのかよ?? 俺の理想に過ぎないかもしれないが目の前のHIPHOPの現実に嫌気がさしていた。 夏が過ぎ涼しくなって秋晴れの気持ちがいい昼前、その日もいつも通りに出社するつもりだったが何もかも嫌になった俺は会社ではなく理由もなく渋谷に向かった。行くとこも行きたい場所もなかったけどブラブラ一人でセンター街を歩いていた。携帯は会社からの電話が鳴っていたが出ずにそのまま充電を切った。 昼飯でも食べようと思ったその時だった。 「ドカーン!ゴロゴロ、ビシャー、ドッカーン!!」 晴天の渋谷に突如雷の落ちる音が鳴り響いた。空を見ても、行き交う人達を見ても雷なんて落ちてない。周りをキョロキョロと見回していると頭の中でジィーっと何かが開く音が聞こえた。 「優、聞こえるか??お父さんじゃ。今、霊界と現世が繋がったんじゃ!」 お父さんは俺が18歳の頃に死んだはずだ。 「なんで聞こえるの?どうゆうこと?」 「落ち着いて聞けよ。今、お父さんは地獄におるんじゃ。優が供養してくれんと天国にいけんのんじゃ。今、魂だけが現世に戻ってきとって優の魂に声をかけとんじゃ。ええか、今から高野山に行って坊主になってくれ。」 声も喋り方もお父さんだ。でも、俺が坊主になるのか??てか、この現状はどうゆうこと??把握できないまましばらくセンター街で立ち止まっていた。坊主になれるかどうかは置いといて、このまま東京にいてもどうしようもないと思った俺は荷物も持たずお父さんの声を信じて高野山に向かうことに決めた。
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