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「で、お前だ」
急に香織の方を向いた翔。
「は?」
「お前は、ずぶ濡れだった」
香織の姿を改めて眺め、気の毒そうな表情を浮かべる翔。
「ちょ、ちょっと!それって捨てられてた犬に
私が似ているって事を遠回しに言ってます?」
「もちろん、そうだが?犬は、そのあと一人っ子の俺にとっては兄弟であり友達でもあり、家族だった」
「その犬にですよ、仮に百歩譲って私が少しばかり似ていたとして、なんでキスなんですか!」
ーーーそうよ、犬に似てたからってどうしてキスなんか。
「拾ったことの無い奴にはわからないかもな。
独特の愛情が」
気の毒そうな表情で香織を見る翔。
「キャリー…拾った犬の名前だ。キャリーのことを『可愛いなあ』『寒かっただろう』と言いながら撫でて抱きしめてキスした。当然な事だろ?それと同じだ」
「はあ?全然、全く意味がわかりません」
首を思い切りかしげた香織。
雑誌やテレビで見たときの翔と実際にこうして目の前にいる翔を頭の中で改めて比べてみた。
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