おいでおいでをされる

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脱衣室の棚には、米俵くらいの大きさの箱があった。それはドラクエのゲームに出てくる宝箱のようなボックスで、何かアイテムでも入ってそうだった。 「はあー、凄いな。こりゃ」 宝箱の蓋を開けてみたが、中は空っぽだ。 壁に備え付けられた洗面台や棚は全て真っ白。鏡はダンスホールかと思うほどに大きい。ここで裸になるのを、なんだか躊躇したくなるほど鏡が無駄に大きい。 だが、迷っている間も寒くなる一方だ。 大きな鏡で見る自分の顔はメイクが落ちていたし髪はぐちゃぐちゃになり、全体に泥水でうす汚れていた。 鏡に映る薄汚れた自分を見て、改めてガッカリし目を逸らした。 ーーーせっかくの御厚意。無駄にしたら悪いし。 服を乾かすだけのつもりだったが、汚れている姿をみたら、やはり少しばかり綺麗になりたくなってしまった。 さっさと服を脱ぎ、用意してあった白いタオルを身体に巻きつける香織。 バスルームの扉開けた途端に真っ白な湯気が香織を包んみこんだ。 ーーーうわぁ、真っ白。 壁も床も、もちろんお風呂も白くて境目がわからないほどだ。 どれもが新品のように白く光っている。 エレガントなシェル型のソープボトルやソープディッシュ。 色が淡いピンク色とホワイトのソープボトルを持ち上げて香織は首を捻った。     
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