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勝手に話は進んで翔は、香織の手を放して自分だけどこかへ行ってしまった。
「なんなの?」
香織が不機嫌そうに言うので健人は、くすっと微笑んだ。
「翔がいなくなって淋しい?」
「え? まさか」
ーーー強引だし、何しろ、勝手に連れてこられて迷惑しているわけだし。
「怒らないで。可愛らしい顔が台無しだよ」
健人が香織の眉間の皺を伸ばすように人差し指をあてて少し香織の眉間の皺をさすった。
「皺寄ってました?」
「うん。でも、もう消えたよ。さあ、僕にエスコートさせてくれる?」
「えっと、でも帰らないと」
香織は時間を気にしていた。
ここは、東京の郊外。電車の本数が限られている。夜遅くなっては、完全に帰れなくなってしまう。
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