仕事の女

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仕事の女

ダイニングには、翔、健人、香織。 その他に大奥様と呼ばれている翔の母親までいて豪華な食事を堪能している。 優雅なクラシック音楽が流れる中、香織は、自分に集中する視線にため息をついた。 ーーー食べてる気がしない。なんで、そろいも揃って私を見るわけ? ーーーああ、そうかマナーがどうとかいいたいのね。庶民なのでマナーが悪くて済みませんでした!べえーだ。 香織は、なんとか気にしないようにして食事を食べ勧めた。 「やはり、腹が減っていたのか」 翔は、ひとり納得したように頷く。 「ぇ? 私の事?」 「ああ」 メインの料理をあらかた食べ終えた香織は、他の人の皿を眺めた。 ーーーげっ、まだステーキに手をつけたばかりじゃん。どいつもこいつも食べるの遅いって。 「いいんじゃない?健康な証拠だよ」 健人はそう言ってから赤ワインを口に運んだ。 ーーーとろい。とろすぎる。このペースじゃ朝になってしまう。 かといってテーブルマナーとしては、確か同じテーブルの人とスピードを合わせるものだと学生の頃習った記憶がある。 「香織さんとおっしゃるの?」 大奥様が初めて口を開いた。 「はい」 「あー、なんて……」 大奥様は、翔の姉と言ってもおかしくないほどに若く見えるし何しろ美人だ。俗に言う美魔女だ。 大奥様が、微笑んで 「失礼して」 と立ち上がって香織の席まで歩いてきた。
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