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この街はずっと吹雪が続き、大雪に埋もれかけていた。
それは冬の妖魔のしわざだった。
このままではすべて氷漬けにされてしまうと懸念したカイトが、南の国へ修行に出ているガールフレンドに助けを求めた。
駆けつけたモモが冬の妖魔に対決を挑んだ時、カイトは見ていた。
銀色のふさふさした毛でおおわれ、血の色の鋭い目、オオカミのような顔で牙を光らせていた恐ろしい姿を。
どうやって倒したのかわからないが、もう妖魔はいないし、吹雪も止んでいる。
人の背丈ほど積もっていた雪も消えていた。
今はちらほらと小雪が舞うだけだ。
「いっただきま~す!」とモモは、なんの説明もしないで大きな口をあけて、ホットドッグにかぶりついた。
あっけにとられているカイトの目の前で、もぐもぐと二口、三口で平らげてしまった。
「はいっ、これで妖魔退治完了で~す」
「ええ~っなんだ、それっ」
「冬の妖魔はね、この街の人間を凍らせて食べようとしていたの」
モモが対決の時を語り始めた。
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