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目黒の瞳を見ていたら、余計に緊張感が高まり翼の足は少しだけ震えていた。 これから、私がチーム長に言うことは無謀かもしれない。でも、翼は意を決して目黒を見つめる。 「わ、わたしに…チーム長のことを教えてください」 よほど意外な言葉だったらしく目黒は瞬きを数回してみせた。 「ん?…今、なんて言った?」 「チーム長のこと、知りたいので教えて下さい」 真っ赤になる翼。 「おやっ?それって遠回しな告白?」 「違います。ただ、知りたいだけです」 「とかなんとか言って本音は?」 ニヤってしながら目黒は肘で翼の腕を突いた。 「…だから、違いますって!!」 翼はムッとなって頬を膨らませた。 「あーーもう、こうなったら、なんでもいいよ。お前が知りたいなら、どんどん教える。じっくり朝まで教えでもいい。それこそ、手とり…」 言葉を切り、目黒は目力のある瞳をまっすぐに翼へ向ける。 たじろいだ翼が後ずさりして背中を壁に当てた。 翼へ近づいた目黒は、かべに右腕をついて、左手で翼の肩を掴んだ。 覆い被さるようになって目黒は、光る瞳を翼へ向ける。 「足取りな…」 翼の肩を掴んでいた目黒の手が翼の?を包みこむ。お互いの息が交差して、お互いの顔に届く。 こんなの無理! 少し知りたいって言っただけで、どうしてこうなるの? 「や、やっぱり、やっ!やめときます」 逃げ出そうとする翼を目黒は、ぐいっと引き寄せる。 「待て待て待て!俺をその気にさせたんだ。簡単には、やめさせない」 目黒は翼を腕に閉じ込め、とうとう、ぎゅっと抱きしめてしまっていた。
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