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しかし、恋人間のスパイスは、別のスパイスも呼び込むものなのかも
しれない。
「ねぇ、大ちゃん。新居に引っ越すまでの間だけど、どうする?」
それは、単純に現状を口にしたに過ぎなかった。
しかし、玉ねぎとジャガイモの味噌汁を一口飲んで尋ねた真友子に、
大祐はポカンとした顔を向けてくる。
「どうするって?」
「ゴールデンウィーク明けくらいまでは忙しくなることもないだろうから、
私は引っ越しまでここで一緒でも構わないんだけど。
でもそうなると、大ちゃんのアパートの家賃は、もったいないのかなとも
思うし……」
だが、そう言ってブリの身を一口摘まみ上げた真友子は、思わず心の中で首を傾げた。
あれ?
目の前の大祐は、視線を俯け茶碗を手にしたまま、明らかに考え込でいる。
しかし、振り返ってみても、今の言葉の何が彼の地雷だったのか真友子には
思い当たらない。
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