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19 大作戦の裏事情(つづき)
平日のまだ日がある内に帰宅をしたのは、もう何年ぶりかのこと。
だから、マンションの前に到着し下から見上げた我が家は、
当然、朝出た時と何も変わって見えない。
ところが玄関を入った途端、真友子は、一瞬、夢でも見ているのかと
その場で凍りついた。
そこには、見覚えのある男性用のスニーカー。
だがそれは、今朝のこの場になかったのは確かだ。
そして、ゆっくりと覚醒するかに息を吸い込んだ真友子は、一気に廊下を
駆けてダイニングに続く扉を開いた。
「お、かえり……」
驚いたのか、バツが悪いのか、緊張しているのか。
リビングのソファからこちらを振り返る大祐の顔は、明らかに強張っていた。
だが、それを気遣うどころか、それからほんの少しの間の記憶が飛んだ。
何かを言ったとしても、何かをしたとしても全てが無意識の下。
自分でも驚くが、それくらいに大きな感情の揺れが真友子を襲ってきた。
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