19 大作戦の裏事情(つづき)

1/16
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ

19 大作戦の裏事情(つづき)

平日のまだ日がある内に帰宅をしたのは、もう何年ぶりかのこと。 だから、マンションの前に到着し下から見上げた我が家は、 当然、朝出た時と何も変わって見えない。 ところが玄関を入った途端、真友子は、一瞬、夢でも見ているのかと その場で凍りついた。 そこには、見覚えのある男性用のスニーカー。 だがそれは、今朝のこの場になかったのは確かだ。 そして、ゆっくりと覚醒するかに息を吸い込んだ真友子は、一気に廊下を 駆けてダイニングに続く扉を開いた。 「お、かえり……」 驚いたのか、バツが悪いのか、緊張しているのか。 リビングのソファからこちらを振り返る大祐の顔は、明らかに強張っていた。 だが、それを気遣うどころか、それからほんの少しの間の記憶が飛んだ。 何かを言ったとしても、何かをしたとしても全てが無意識の下。 自分でも驚くが、それくらいに大きな感情の揺れが真友子を襲ってきた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!