20 道のりは易からず

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20 道のりは易からず

この日、夜道を歩く大祐は、ある計画を胸に秘めていた。 一緒に暮らすということを二月中に決めたためか、プロポーズをした 週末には、案外すんなりと新居物件が見つかった。 だが、やはり人々が一番移動する季節だ。 だから、引っ越しは四月までお預け。 それまでの間は、週末の内の一日はデートに充て、それ以外は臨機応変ということに決定。 そしてこの日の誘いは、水曜の夜に真友子の方から掛けられた。 「金曜日、夕方から雨か雪っていう予報だから、ウチでおでんでもしない?」 二月も終わりが近くなってくると、案外、首都圏では雪が降ったりする。 おまけに、ちょっとした荒天にも弱い都心は、こんな天候に すぐに振り回される。 だが反面、寒い夜は二人でぬくぬくしようという提案を断る理由は、 大祐には有り得ない。
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