流れ流れて

3/4
前へ
/5ページ
次へ
丸々と太ったその容姿から丸と呼んでいるが、声を掛けたにも関わらずニャーと鳴くこともなくチラッと優刀を見ると丸はまた寝た。 「相変わらず愛想がねーな。 あ、そうだ。」 思い出したように、ズボンのポケットを漁ると小袋が一つ出てくる。 「ほれ、俺のおやつだが、お裾分けだ」 小袋から取り出したのは、にぼし。 いくつか手に取ったにぼしを寝ている丸の前に置くと、「じゃーな」と、別れを告げ再び歩き出す。 「ふんふんふん♪ お、ポリス。」 ポリスとは、矢島と書かれた表札が掛けてある家で外飼いされている柴犬で、本当はシバと言う名前だった。 ポリスは優刀が勝手に呼んでいる名前で、この家の番犬ということだけでつけた。 「どれ、今日もしっかりとお勤めしてるか、、、」 「ウゥー、ワン!ワンワン!!」」 シバを触ろうと手を出すと、牙をむき出し吠えてきた。 「おー、さすがポリス。 お勤めご苦労様!」 シバに敬礼すると、吠えられながらまた歩き出した。 そのような感じで、のらりくらりと歩いていくうちに、墓地が見えてきた。 「おじゃましまーす!」 元気に挨拶をしながら墓地に入った優刀は、どんどん墓地の中を進んでいく。 そして、一つの墓石の前に立つと、花を添えた。 続いて線香をあげようとするが、急いで出てきたため、火をつける物を忘れた。 「あ、いっけねーや。     
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加