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何とマルは果敢に踏み込んで、ドラゴンの後ろにある扉まで歩み寄った。
どういうことだろう。扉が半開きになっているぞ。これは罠か。マルも疑わしく思ったらしく歩みを止めた。これは僕からでは何も言えない。現場の判断に任せよう。
マルの決断は調査続行だった。音を立てずに扉の向こう側へと踏み込む。
その先には玉座があった。人類未踏の魔王城心臓部か。幸いにも魔王はここにはいないようだ。
玉座に近づいたマルはヒクヒクと鼻を動かした。まずカーペットが凄い。これはグリフォンの毛皮だろうか。これほどの場所だと、部下たちも喜んで膝をつくだろう。
そして玉座。材質がわからない。これはいったい、何の動物の革なのだろう。ところどころに装飾されている骸骨は人間のものだろう。いかにも魔王という感じがする。
それにしても、ため息が出るほどきれいな場所だ。
柱や壁だけでなく、床まで磨き抜かれており、ガラスのように猫の姿を映している。
知能の低い魔物や強制労働させられている捕虜に、ここまでの仕事は到底無理だろう。魔法の成せる業だろうか、それともモラルの高い使用人や兵士たちを抱えているのか。
悩んでいたら、マルは何かに気付いたらしく、奥の小部屋へと向かった。
おいおい無警戒になっているぞ。僕はあらためて"警戒を怠るな"という指示を送った。
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