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ある日、勝又が仕事でミスをした。
請求書の額を一桁間違えたり、先方への連絡を忘れたり、書類の誤字が目立った。
今まではそんなことはなく、どうしたんだ、と尋ねると、勝又は目の調子が悪いと言いながら目薬を差していた。
そう話す勝又の顔に、俺は少し違和感を覚えた。
よく見れば、勝又の目が白く濁っていたのだ。
「お前、目が白くなってるぞ。眼科へ行って来いよ」
だが、勝又はそれを拒んだ。
代わりに、またあの店に行こうと誘って来た。
ならば、付き合う代わりに病院へ行けと交換条件を出すと、勝又は渋々頷いた。
あの店は、噂では営業するのは稀だと聞いていたのに、こんなにも毎日営業しているものなのだろうか。
噂はただの噂ということか。
そう思いながら、仕事終わりにまたあの商店街に向かった。
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