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そんな時、隣の席に座っていた二人組の男がある噂をしていて、話が耳に入ってきた。
それは、ある商店街の居酒屋の脇に小さな屋台のような店がある。
いつも椅子とテーブルだけが放置され、キッチンカウンターには誰もおらず廃業したように見えるのだが、ごくごく稀に開店するという。
大将はかなり気まぐれで、営業日も時間も決まっていないが、その大将が作るという煮込みがこの世のものとは思えないほど美味いらしい。
中毒になるほどだ、と片方の男が言った。
それを聞いていた勝又は、興奮した様子で隣の男に場所を尋ねた。
あまりの気迫に二人組は若干戸惑っていたが、親切にもその場所を教えてくれた。
「あくまで噂ですから。そんな店自体ないかも」
と片方の男は恐縮していた。
「大丈夫です!行ってみます」
張りきる勝又に、何が大丈夫なのだと俺は心の中でつっこんだ。
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