【怖い商店街の話】 煮込み屋

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仕事が終わった後、俺と勝又は地図を頼りに商店街に向かった。 駅は特急も止まらない小さな駅。 駅前には小さなコンビニと居酒屋があったが、ネオンはなく静まり返っていた。 そこから少し歩いたところに、商店街のアーケードの入り口が見えた。 アーケードの中は、すでに営業時間を終えたのかシャッターが並んでいた。 しばらく歩くと、電気が煌々と灯った居酒屋があった。 あれが目印の居酒屋だろうか。 俺と勝又は顔を合わせた。 その角を曲がると、あの男性が言っていたとおり、屋台のような囲いのない店があった。 屋根はカウンターまでしかなく、カウンターテーブルと椅子、テーブルが一つだけ置いてあり、カウンターの向こう側にガスコンロと、その奥には古いブラウン管テレビと引き戸があった。 「ここの事だよな?」 「誰もいないな」 店には電気もついておらず、誰もいない。 「すみませーん」 勝又が試しに声をかけた。 だが、見た感じもう随分と営業していないように思えた。 それほど、椅子もテーブルも廃れていた。 残念がる勝又をなだめ、腹も減っていた俺たちはどこか飯屋がないかと商店街を歩いた。 しかし、どこも飯屋らしき看板はあるが、すでにシャッターが閉まっていた。
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