【怖い商店街の話】 煮込み屋

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勝又は待ちきれない様子で「煮込み」を注文した。 男はまたニッタリと笑い、鍋の中の具を大き目なお椀によそって俺たちの前に出した。 見た目は、もつ煮込みのようだ。 大きなお椀なせいもあって、具が汁の中に沈んでいる。 「さぁ、食おうぜ!」 勝又は興奮気味に箸でお椀の中の具を掴んだ。 勝又が掴んだものは、モツだろうか。 モツ独特のシワのような表面にプルプルと弾力性があった。 それを口に入れた瞬間、勝又が驚いた表情でこちらを見た。 「やっば! ちょー美味い!! お前も食えよ」 箸を渡されたが、正直俺はラーメンで腹がいっぱいだった。 俺はお椀の中に箸を入れ、モツを口に入れて噛みしめた。 確かに美味しかった。 噂になるだけの事はある。 だが、俺はそれ以上食べることはしなかった。 「なんで食わないんだよ」 勝又は俺に怒ったが、「ラーメン食って腹いっぱいだ」と言うと勝又は渋々納得した。
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