2 縮まる距離

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 啓太の面影なんて微塵も感じさせないイケメンのアイコンは、この前居酒屋で見せてもらった時のキャラだ。げ、フォロワー1000人以上かよ、人気者だな…。  相変わらず間の抜けたような文面のツイートには、たくさんのイイネがついていて、所々画像も上げられている。コスプレの画像だったり、食べ物だったり、キャラクターの画像だったり…そのほとんどに、リプを返してる人物に目がとまった。  絡まれて困っていると言ってた女は、コイツのことか…名前も同じだ。レイヤーだけあって、アイコンも本人。別にブスってわけじゃ無いけど、特別美人ってわけでもない。だけど、ツイート内容はお察しで…スクロールしても俺の気分が滅入りそうだったから、そっと閉じた。  確かに、こりゃ啓太にはきっついタイプの女だな…。必死にフラグを折ろうとするわけだ。  俺が女装を了承した途端にハメを外して、最後はフラフラになりながら電車に乗った啓太の姿を思い出して、思わず笑っちまった。  ◆ 「あおちゃん、お疲れ~!」  仕事帰り、いつもとは反対の東京行きの電車に乗り込んだ俺を出迎えたのは、大量の袋を手にした啓太だった。 「お疲れ…って、すごい量だな…」 「そう?買い物一回で終わらせたくって、布買った帰りにウィッグとかライオンボードとか買ってきちゃった!ハンズ行くと、どーしても買い込んじゃうんだよねぇ」     
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