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顔を近づけて覗き込まれて、思わず苦笑する。確かに俺自身も、今の俺は美少女だと思うけど、元々の姿を知らない人間にはそこまで疑われるもんなんだな。
「こんな美人さんと一緒に撮影出来るなんて嬉しいよ、今日は張り切っちゃうからね!」
「まーやんさん、俺の時はそこまでテンション上がんないのに…」
「あはは、ごめんごめん。ケータ君も格好いいから撮るの楽しいんだよ?」
頬を膨らませて拗ねる啓太に、おっさん改めまーやんさんが笑う。年上の男と話す機会なんて上司ぐらいしかなかったけど…趣味が一緒だと、こんなにもフレンドリーに話せるなんて不思議だった。
◆
「黒ホリ空いてた!荷物置いてきたから移動しよう!」
撮影を始めて数時間。サイバースペースって言う黒い部屋の壁にLEDライトが埋め込まれ、SFチックな部屋から場所を移動しようって話しになった。
黒ホリで多灯焚きして格好いいの撮りたいと言い出した二人の会話についていけず、それでいいかと問いかけられ、とりあえず頷く。そうすれば、啓太が空いてるか見てくる!と速攻で走り出した。そして数分後には笑顔全開で戻ってくる。
言われるがままに移動した部屋は、着替えた所と同じような部屋の壁全てが黒に統一されている何も無いスペースだった。
「あ、ごめん、撮影前にトイレ行ってきて良い?」
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