16 レイヤーあるある

2/13
403人が本棚に入れています
本棚に追加
/179ページ
 良い人と悪い人の差がよく分からんが…とりあえず水を飲もうとビニール袋を漁っていたら、再びすみませんと声をかけられた。  またか…うんざり気味に顔を上げて、息が止まる。目が合ったのは、同じソシャゲのキャラのコスプレをした女性だった。しかも、その顔に見覚えがある。  数秒遅れて振り返った啓太も、あ、と声を漏らしたまま固まった。 「やっぱりケータだ!久しぶり~!」  予想は的中、相手は俺が嫁キャラを着る要因を作ったっていうあのメンヘラ女。  媚びるように笑う態度は、俺と目が合った時とはまるっきり別人だ。にこにこと笑顔を作っているが、啓太越しに俺を見る目は笑ってなくって…品定めされてる感が凄い。あからさまな姿に開いた口が塞がらない。 「LINEもツイッターもあんま構ってくれないし、寂しかったんだよ~、何してたの?」 「あー、えーっと…、まあ、色々ね?」 「ケータが主人公するって言うからさぁ、ジャンル被せてきちゃった!ね、今度私もミレイユするから合わせしよーよ!」 「えっと、ごめんね、俺、この子と一緒に活動してこうと思ってるんだ」 「…は?なんで?意味分かんないんだけど…?」 「あーーー…ごめん、あおちゃん、ちょっと外しても大丈夫?」     
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!