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小中高まで一緒だった俺たちだったけど、大学進学の時、幼なじみは都内の大学を選択。実家から通うには少し遠くて、地元を出て一人暮らしを始めた。
変わって俺は、家から通える距離の大学へと進み、実家に残留。毎日つるんでただけに、不思議な物足りなさを感じながら過ごす大学生生活は、中々に退屈だった。
そんな日常を過ごして数年…社会人として、やっぱり地元の会社に就職した俺の所へ、今まで音沙汰の無かった幼なじみから突然連絡があった。俺にしか頼めない事があるから、助けて欲しいなんて内容に、どうしたのかと緊張しながら向かっのは、二人の家の中間駅にある居酒屋。
久しぶりに会った幼なじみは、更に身長が伸びていた。それに比べて、成長が中学から止まった俺の身長は165。殺意が芽生えそうな見た目だったけど、性格は全く変わってなくて少し安心する。
飲み始め、互いの近況報告なんてのをして一時間。今日呼び出した本題について触れてこないのか?と聞いてみたら、突然にパン!と両手を合わせると、一生のお願いだと頭を下げられた。一生のお願いって、耳にしたのは学生以来な気がする。
そんな、少し能天気気味な幼なじみ、寺田啓太から飛び出してきた懐かしいフレーズのせいで、思わず拍子抜けしてしまった。
「で、その一生のお願いの内容はなんだ」
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