10 無自覚

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 啓太の両親は、啓太が中学前に離婚していて、父親に引き取られてすぐに再婚をしたのは知っている。啓太が、父親と新しい母親に遠慮してる事も知っている。深夜に前触れもなく突然帰るには、敷居が高すぎるんだろう。  元はと言えば俺のせいだし、断る理由もない。承諾して一緒に玄関をくぐると家の中は真っ暗だった。深夜のせいで家族は部屋に引っ込んでいるんだろう、静かに自分の部屋まで向かう。 「とりあえず顔とか洗って寝る?」 「そうだねぇ…お風呂は明日でいいかな」 「ん、俺の服じゃ小さいだろーけど、とりあえず寝間着だすわ」  クローゼットをあけて、換えのスエットを漁る俺の後ろで、あおちゃんのにおい~って言いながら深呼吸しているのは気付かないことにしておこう。格好いいって思ったのに、本当に片っ端からぶっ壊していくよなコイツ…。 「ねぇ、あおちゃん。コスの用意終わったけどさ、武器作らない?」 「武器?」 「うん。武器持ってた方が様になるし、構図も楽になるんだ。ボタンに使ったボードも余ってるしさ!手伝って欲しいんだけど…どうかな?」 「…手伝う」 「ほんと?ありがと!」  別に、武器を用意する予定なんてなかった。あればクオリティは上がるだろうけど必須ってわけじゃない。第一作ろうと思えば一人で勝手に作るだろうし俺に聞いてきたりなんてしない。…こいつは、俺が寂しかったってのを聞いて、俺の為に言い出したに決まってる。 「…ありがとう」     
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