11 初めてのスタジオ

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11 初めてのスタジオ

  「言ったよな、俺、言ったよな。絶対に間に合わないって、言ったよな?」 「うう…ごめんなさい葵様…ごめんなさい…」  真っ暗なベランダでスプレーをかけ続けている啓太は、背中越しに涙声で謝罪してくる。本当はもっと色々と言ってやりたかったけど、一緒になって楽しんだ俺も強くは言えない。言えないけど…ゲーム始める前に注意したんだ。今これをしたら絶対に準備間に合わないぞって。  スタジオ撮影が明日にまで迫った前日の夜9時。  後は塗装して乾かして終わりって所までは進めた武器作成を、ここ数日サボっていた。理由は簡単で、新しいゲームが発売されたから。  前日の夜に啓太のマンションに泊まり、一緒にスタジオへ行く予定だったので来てみれば、飯の後に速攻で2コンを持たされた。  明日までに絶対に間に合わないよな?乾くのか?って聞いたら一晩あれば大丈夫!と言って、笑顔で電源を入れてる。それから数時間…気付いた時には日付が変わり、1時間経過する寸前だった。     
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