11 初めてのスタジオ

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 これは完全に間に合わないし、明日は無しで良いんじゃないかって言う俺に、今から作る!間に合うかもしれない!!と慌て始めて、塗装開始。2時を回っても未だにスプレーをシューシューしている後ろ姿を見て、ため息が出る。このままだと、明日の体調の方が心配だ。 「啓太、もう良いから…寝よう」 「あとちょっと…!」 「パッと見は完成してんじゃん。このまま続けて、明日の朝起きれない方が怖い」 「う…」  さっさと寝る支度を整えると、啓太のベッドへと入り込む。ペラと毛布を捲って、啓太分のスペースを開け、そこを手で叩いて気を引かせた。 「ほら、おいで」 「ううう…!あおちゃんが可愛く誘ってくるよぉ…!」 「人聞き悪い言い方だな」 「男の恥だ…!お邪魔します!させて頂きます!」  持っていたスプレーをその辺に置くと、窓とカーテンを閉めて突撃してくる。不思議なテンションで潜り込もうとしてきた啓太を、慌ててとめた。 「ストップ!せめて手洗ってから寝ろ!」 「えぇ?!あおちゃんから誘ってきたのに?!」 「毛布汚れるだろ」  分かったよぉとふて腐れながら洗面所へと向かう啓太の背中を見送りながら、息を吐く。アイツのことだから、ほっといたら絶対に朝までやり続けるはずだ。いくら趣味だからって、身を削りすぎだ…こうやってストップをかけれる位置にいれて、良かったとしみじみ思った。     
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