10 無自覚

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10 無自覚

  「ううう~~~あっつーい…!!!」  ドライヤーで温めていた白いふにふにしているボードを、素手で触った啓太がその場で激しく足踏みをした。だけど、涙目になりながらも掴んでるボードは手放さずにいる。 「大丈夫か?一回放した方が…」 「だいじょぶ!!いつかは曲げなきゃいけないんだ…!よぉおし、曲がれぇ…!」 「はいはい、橋まで曲げんなよ」  変なテンションのまま叫びだした啓太に、突っ込みを入れながらドライヤーの電源を抜いた。  衣装もウィッグも出来たってのに、なんで未だに啓太のマンションに通ってるのか。それは、宅コスをした日から3日後の日付まで遡る。  ◆  抜き合うだけじゃなくて、結構ガチなキスまで交わした仲になった俺たち。情が移ったっていうか、妙な親近感が生まれたっていうか…近くにいないと落ち着かなくなった俺は、啓太の要素が足りなくなるなんていう信じられない現象に陥った。     
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