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確かに、赤ん坊の泣き声は目の前のコインロッカーの中から聞こえる。
「景品が赤ん坊なんてあり得ないだろう」
俺は正直、鍵を開けようか迷った。
だが、俺は勇気を出して鍵を鍵穴に差し込んだ。
その間もずっと赤ん坊の泣き声が、中から聞こえてくる。
俺は勢いに任せてロッカーの扉を開けた。
だが、そこにあったのは赤ん坊の姿ではなく、またも小さな桐の箱だった。
俺は安堵し、ホッと息を吐いた。
扉を開けた時、赤ん坊の泣き声も消えた。
一体、何だったんだろうか。
そう思いながら、俺はその小さな桐の箱を開けた。
それを見た時、一瞬何だかよくわからなかった。
乾いた貝のヒモかとも思った。
だが、俺は同じようなものを前に見たことがあった。
母親が大事そうに箪笥の引き出しから出してきた小さな桐の箱。
中には同じく干乾びた貝のヒモみたいなものが入っていて、「何これ」と俺は母に尋ねた。
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