戦闘力のなかった俺は戦力外通達を貰う

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俺の名はヘリス。勇者の幼馴染で今迄一緒に冒険をしていた。 「すまない、もう君と一緒には冒険を続けられない」 幼馴染である勇者本人からその言葉を聞いた時、俺は前々から覚悟はしていたがとうとうその時が来たのだと実感した。 「次の国へは誰と行くんだ?」 「この国で新しく仲間になった彼女が居ただろう?君がサポーターとしてのノウハウを叩き込んでくれたおかげで、今では貴重な戦力に育ったよ」 「ああ、彼女は戦闘能力は俺とどっこいどっこいだったけど、俺とは比べられない程の魔力を持て余していたからな。補助魔法を主体としたサポーターに向いていると思ってたんだ。そんなに高く評価されてたのか、それなら俺はお役御免だな」 「本当は君と一緒に冒険を続けたかった。けれど今度の国で出現するモンスターは上位種ばかりなんだ。君を庇いながらの戦闘はもう無理だと思う」 「勇者は世界を救わなきゃいけないんだ。俺だって勇者の足をいつまでも引っ張るわけにもいかないし、ここが潮時だったんだよ」 「君が持って生まれた才能が戦闘系だったなら・・・」 「何を今更、俺のこの才能は勇者を助けるために与えられた大切なものなんだ。お陰で今迄一緒に冒険をする事が出来たんじゃないか」 「ヘリス・・・」 「俺の事は心配要らない。この才能は戦闘力は無いが、生き抜く上では最大限効力を発揮出来るんだ。手持ちの軍資金もそれなりにあるし、この国で一山当ててみせるさ」 「世界が平和になったら必ず君に会いに行くから」 「おう、サッサと世界を平和にしてくれや」 翌日、次の国に渡る船乗った勇者達を見送った俺は手持ちの金を何に使うか考え始める。 「俺の才能を活かすには、やっぱり店を構えた方が良いよな」 この国の物価はそれ程高くは無い。空き家を探せばそれなりの広さを持った所でも十分に購入出来る。何割かは残して後は家の購入に当てるとして、俺独りで切り盛りするにはこの才能は向いていない。 「この国って奴隷制度有ったっけ?」 仲間になった彼女を鍛える事に夢中でこの国について殆ど知らない事に気付く。折角なのでこの辺りの空き家を探す序でに聞いてみる事にした。 「奴隷制度は有りますよ。ただしこの国で奴隷になっているのは獣人族だけですが」 空き家を仲介している商人から良い事が聞けた。同族の奴隷は居ないが、獣人族なら奴隷が居る。ちょっと予算の配分を変えよう。
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