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周りから見て、俺にとってショックだと思われる出来事があった。 そう信じて疑わない目の前の“大人”が慰めるように口を開いた。 「だから、言ったんだ、オープン腐男子もいいが少しは自重しないと痛い目見るぞと、せめて俺みたいに隠すべき時は隠すべきだったんだ。」 見当外れの指摘に思わず笑みが漏れた。 それは普段、「萌えー!!」と言いながら見せる笑みとも、友人と居るときに見せる笑みとも違ったようで、大きく目を見開きながら驚かれてしまった。 その表情に、クスクスと笑い声まで出てしまった。 「……どういうことだ?」 先ほどよりオクターブ低い声で問いかけられる。 もうすべては“終わってしまった”。だから、今から外野が何を言っても決定は覆らない。 もう、良いかな?そう思い俺は喋り始めた。 「こっちが俺の地ですよ、先生。確かにBLは好きですが、TPO位理解してますよ。 わざと、馬鹿みたいにホモホモ言っていたに決まってるでしょ?」 にいーっと笑っていってやると、目の前の大人、学園の養護教諭である柴田 大和(しばた やまと)は苦虫を噛んだような顔をした。 「今日ばらすという事は、本間家の後継者争いから外れるためか?」     
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