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「私……やっぱりね。優劣、つけられないよ」
彼女はもう一度――先程とは違う声で、ごめんね、と言った。
「私にとっては千穂も美紅も、同じだけ大切な友達で。片方を恋人にしたら……そこに差をつけてるような気がしちゃうんだ。……だからね。恋愛とか友情とかそれ以前の問題なの。私は千穂と美紅が大事だから……千穂だけを、恋人になんかできないよ」
「……そっか」
なんだろう。すっきりしてしまった気がする。あまりにも小鳥らしい答えだったから。
それが千穂が好きになった、坂ノ上小鳥という少女だと――そう思ったから。
「じゃあ、さ。小鳥」
まだ、わからないことはたくさんある。
友達ってなんなのだろう。
自分達にとって最善とはなんだったのだろう。
そして、これからするべきことはなんなのだろう。
「友達でいてくれる?美紅と一緒に……いつかあたしらがしわくちゃの、バアさんになるまでさ」
それでも、時間をかけて答えを探していくのだ。
今はもういない、大切な彼女の分まで。
「…うん。それなら、喜んで」
どこか泣きそうな顔で照れながら、小鳥が差し出してきた手を。千穂は万感の想いで、そっと握った。
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