<第一話>

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 質問は毎回、それぞれ五個ずつ用意してくる決まりだ。全員順番に回し、先生に見つかるか三人の質問が五個ずつ終わる――つまり計十五個終われば終了。現時点で、十円玉が動かなかったことは一度もない。本当に幽霊が降りてきているのか、それとも誰かが動かしているのかは不明。しかし、一番愉快なのはそこではないのである。  二人の友人は、毎度のように面白い質問を考えてきてくれるのだ。それがいつも予想外で、その結果も踏まえて小鳥は楽しみで仕方ないのである。昨日など、“門倉センセーのパンツの色はなんですかこっくりさん”なんて質問を千穂が持ってきて大爆笑だったのだ。門倉先生こと門倉明男は自分達の担任教師の名前である。そんでもって、ジイさんなのかオジさんなのか迷う程度には歳が行っている。なんぜオジさんのパンツの色が気になるんだよ!と美紅と二人でツッコみまくったものだった。――まあ、つまり。オカルトどうの、というより友人達とのそんなしょうもないやり取りが面白くて開いている儀式のようなもの、なのである。 ――ふふふ、我ながら今日の質問はなかなかイカしてるぞよ。今日こそ二人をびっくりさせてやるんだから!!  こっくりさん、という名の。いかに仲間達を驚かせ笑わせることができるか、というくだらない遊び。そう、くだらないのは自分達もわかっているのだが、小鳥はこれが楽しくて仕方ないのだった。小学校時代からずっと一緒の、幼馴染と言っても過言ではない二人である。気心の知れた相手と一緒にに遊ぶのは、たとえそれが傍から見ればしょうもないことであっても面白くて仕方ないのが学生というものだ。そして、少々オカルト好きに眉を潜められる内容であるとしても、不良じみた行為をするより余程健全な遊びではないかとも思うのである。  まあ、放課後つい長く残りすぎて、先生に何度か叱られて強制解散になったこともあるが、それはそれ。どうせ、来年――中三になったら受験勉強で忙しくなってしまうのだ。今のうちだけのひそかな遊びだと思えば、多少煩くしていても大目に見て欲しいものである。 「ういーっす、ごっめん遅くなったあ」  ガララ、と引き戸が開いて教室に入ってきたのは千穂である。短髪でボーイッシュな彼女は、一見すると男の子にも見える容姿だ。背が高くていつも元気、美術部よりも運動部の方が似合う少女である。
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