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ことの始まり
一月十三日日曜日、よく晴れたこの日、ある閑静な住宅街の一軒家から一人の若者が出かけようとしている。彼の名前は霧島練。去年の春大学を卒業したばかりの二十三才だ。[行ってきまーす] 彼は大きな声でそう言うと玄関のドアをあけ外へ歩き出した。
今日は大学時代から付き合いだした彼女と一緒に久しぶりの買い物だ。彼の住む家から歩いて十分ほどの所にある駅の近くで待ち合わせをしている。
住宅街をしばらく歩くと一匹の猫が眠そうな目でこちらを見ている、黒猫だ。猫はあまり好きではないが、最近はこのあたりで野良猫を見かけることは珍しい。 (野良猫か珍しいな、でも黒猫は縁起が悪いっていうしな) 練はそう思いつつも素通りしいつもどうり、ややゆっくりと歩き続ける。
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