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[それにしても今日はいい天気だな。] 一月とはいえ太陽の光がこころなしか、少し暖かく感じるような気がする。ひさしぶりの彼女との待ち合わせは、駅をでてすぐ右にあるファーストフード店。十二時ちょうどの待ち合わせである。練は左手首にはめたデジタル時計をちらりと見る。今は十一時四十七分だ。 (もう少し急げば五分前にはつくな。) 練はそう思うと、歩くスピードを少しあげた。大通りに出ると、行き交う人がふえる、それぞれの人が、なんだか楽しそうにみえる、もちろん練も楽しげだ。ほどなくして駅前のファーストフード店が見えてきた。すると、ちょうど電車が到着したのだろう、駅から出てきた十数人の中に、見慣れた若い女性の姿をみつけた。彼女だ。彼女の名前は雨宮ナナ、年齢は練と同じ二十三才、綺麗に染めた栗色の髪は、肩にとどくほどの長さで、その瞳はどこかあいらしく、美人というよりは可愛いという感じである。服装はグレーのコートに白い薄手のニット、そして細身のジーンズにスニーカー、手にはトートバッグをもっている。ちなみに練の今日の服装はというと、ネイビーのコートに、白い薄手のニット、黒いパンツ、そしてスニーカーをはいている。今日は手ぶらだ。
練は久しぶりに会う、彼女のもとへかけよると声をかけた。 [一週間ぶりだね。髪染めたんだ。] それを聞いたナナは、少し恥ずかしそうに [どう?似合うかな。自分では気に入ってるんだけど。]
[いい感じだね。綺麗に染まってるよ。] そういいながら彼は、ナナの頭から足先まで見ると、次に腕時計で時間をたしかめる。十一時五十七分を表示している。 [じゃあお腹すいたからそろそろ店にはいろうか。] [私もちょうどお腹すいてきたんだ、はいろう。] 二人は並んで歩きながら、ハンバーガー店の店内へと、入っていった。オープンしてまだ半年ばかり、店内は混雑した様子で、一階と二階が飲食スペースとなっている。二人はまずは注文をすませると、一階の空いた席へついた。 [この時間だから人多いね。] [まあ、いつも結構こんでるけどね。] そんな会話をしていると、自分たちの番号がよばれる。 [あ、番号呼ばれたみたい、俺持ってくるから待ってて。] 練はそういうと、カウンターへと向かった。ナナはそんな練を見送ると、しばらくして、二人分のトレーを持って、彼が帰ってきた。 [おまちどおさま。] テーブルへ二人分のトレーを置きながら、彼女の向かいへ腰をおろした。 [それじゃあ、食べようか。] [そうだね食べよう。] [いただきます。] 二人は同時にそう言うと、ハンバーガーへ急いでかぶりつく彼を、ナナはおかしそうにみつめ、自分はゆっくりとドリンクを一口喉へ流し込む。 ハンバ
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